2.正しく視力の補正をしましょう
~ 屈折異常には視力の矯正を ~
眼科での診察を受け、今後の方針が決まります。治療を行う、経過観察する(しばらく様子を見る)、視力矯正を行う等です。
ここからは屈折異常、つまり近視、遠視、乱視の矯正について説明します。
学校からの通知には
A(視力1.0以上):教室の後ろの席からでも黒板の文字を楽に読むことができる
B(視力0.7-0.9):教室の真ん中より後ろの席からだと小さい文字が見づらい
C(視力0.3-0.6):教室の真ん中より前の席にいても小さい文字は見づらい
D(視力0.2以下):一番前の席でも黒板の文字が見づらい
の区分があります。
C、D判定になるとメガネなどで視力の矯正が妥当となりますので、眼鏡の処方箋を出してもらいましょう。処方箋の有効期限はおおよそ1か月ほどなのでそれまでに眼鏡店でメガネを作りましょう。おおよそというのは処方箋によっては有効期限がバラバラで、中には記載のないものもあるためです。お薬の処方箋は発行から4日が有効期限とされていますが、眼鏡の場合は明確な期限は決まっていないようです。(参考:厚生労働省)
そして
この時気をつけたいのが視力0.6-7位だと「子供も不自由を訴えないし、もう少し様子を見よう」と判断してしまうことです。
ここで考えていただきたいのが「良い視力ってどうゆうこと?」
そして「そもそも良い視力って必要なの?」ということです。
「教室では前列の席にしてもらうから黒板が見づらいこともなく、先生も大きな字で板書してくださるし、視力を矯正しなくても問題ないのではないか?」とメガネを敬遠する保護者の方も少なくありません。
まず「良い視力」とは「リラックスした状態でよく見える」ことです。
裸眼かメガネ使用かは問いません。
リラックスした状態というのが大事です。
一生懸命じーっと目を細めて見る、目や周辺の筋肉が緊張した状態が続くのは良い見え方とは言えません。そのような緊張状態は長時間持続するはずもなく、集中力が続かない、飽きっぽい性格になる、疲れやすいことから怒りっぽい、いつも落ち着きなくソワソワしているといった情緒にも大きく影響を与えます。
また人間は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のうちおよそ80%を視覚を使い判断すると言われています。
よく見えることは周りの環境への好奇心やスポーツなど運動に対する積極性であったり、同級生、先生の表情や細かいしぐさの違いを見て感じることで感受性や考える力に影響を与えます。
心身ともに成長し人格の形成される思春期の子供たちにとってその重要性は計り知れません。
もちろん視覚以外の感覚をトレーニングすることで見え方のハンデを補うことはできますが、膨大な時間と努力を要します。だからこそ裸眼だろうが眼鏡だろうが「見える」ことは人間の素晴らしい能力であると認識して、大切にしてほしいのです。
[補足]
A、B判定では視力の矯正が必要ないかというと実は必要な場合もあるのです。
お子さんの眼の状態によっては、目を細めたり、じーっと目を凝らしてみることで視力表を読むことができる場合があります。繰り返しますが、良い視力とは「リラックスした状態でよく見える」ことですから、視力検査の時だけ頑張って「たまたま1.0見えてしまった」のだとしたら安心はできません。
「でも見えてるか?ときいても見えてると答えるし、どうやって判断すればいいの?」
そんな時はご家庭でお子さんのしぐさに気を付けてみてあげてください。
□テレビ等、両目または片目を細めてみている
□テレビをみる距離が近い
□勉強中の姿勢が悪い(ノートと目の距離が15センチ以下になっている)
□顔を傾けてみている
□肩こり、頭痛を訴える
1つでも当てはまることがあれば無理して見ている可能性があります。
眼科を受診されるか、しっかり視力測定してくれる眼鏡店で精密な測定をされることをお勧めします。