子どもの視力が心配な保護者の方へ(3)

生活習慣について

 

3.生活環境の見直し

 

近視や乱視になるのはほとんどの場合は生活環境による影響が原因と考えられています。

ご両親が近視でも近視にならない子供さんや、また逆の場合もよくあることです。

 

大切なのはこの先です。

特に近視は強い度数になるほど、様々な健康上のリスクが上がります。

眼に関しては、近視でない人に比べて発症の危険性が緑内障が3.3倍、網膜剥離は21.5倍、近視性黄斑症は40.6倍にもなります。(NHK健康チャンネルより

大げさでなく、失明の可能性が高くなります。「メガネをかければ大丈夫…」とは言えないのです。

そのために心がけたいのが目に負担のかからない生活を送ることです。

 

 

-.長時間の近い距離での作業を続けない。

 

 

近い距離のものを長時間連続で見ていると眼の中のピントを合わせる筋肉を酷使し、結果として近視が発生しやすくなります。お子さんだと漫画やゲームが面白くて夢中になりすぎると、眼がオーバーヒートしてもなお見続けてしまいます。本人はけろっとしていても身体には大きな負担がかかっています。

かといって勉強でもタブレットを使う時代です、デスクワークしない訳にはいきません。

ですので、適度な休憩をはさむようにしましょう。

4~50分行ったら10分休憩、休憩時間中はなるべく距離の遠いところを見ましょう。

窓の外の景色や、夜なら星を眺めたりしてピント合わせの筋肉をリラックスさせましょう。

パソコン、タブレット、スマホの操作や家庭学習など、現代人はデスクワークの時間が長いのです。

 

昨今のデジタル機器の普及で拍車がかかった感がありますが、実はさかのぼること500年前、15世紀に発明された活版印刷技術の登場によってデスクワークの時間が飛躍的に伸び、近視人口を増やしたとも言われるほど視力と作業する距離は関係が大きいのです。

 

 

-.適切な明るさの照明を使いましょう。

 

「暗い部屋で本を読んでると目が悪くなるよ」

誰でも一度は注意されたことがあるかと思います。これも暗所では目の緊張状態が続き、視力の悪化を招くためです。暗いと文字も見づらくなるため紙面と目の距離が近くなり懸命にピント調節することになります。また暗いと光を取り込もうと瞳孔を大きく開こうと目が緊張します。

ですので部屋全体を明るくし、尚且つノートを使う際には手の影が文字と重ならないようにデスクライトを使いましょう。

 

 

-.食事の好き嫌いをなくす

 

眼に良い食べ物として有名なのはブルーベリーがあります。これはアントシアニンという成分が眼精疲労に効果があるためですね。他にもルテインが多く含まれる緑黄色野菜や、アスタキサンチンを含む鮭やアサイーなど抗酸化物質が網膜の働きを守るとか、ビタミンB群を含む豚肉、レバー、大豆、牛乳などが視神経の働きを高めるとか、様々な研究が進んでいます。

しかし、我々は視力の為だけに食事をするわけではありません。お子さんの食事となれば、体の成長に欠かせない栄養素をきちんと摂ることが第一だと思います。大切なのは「好き嫌いせずに何でも食べる」「肉も野菜もバランスよく摂る」ということです。この食材が目に効くからとかあまり神経質にならなくていいと思います。

気を付けたいのは、お菓子などの間食をしすぎて食事の量が減ったり、好き嫌いをして偏食になったり、過食・拒食といったアンバランスな栄養状態になることです。これも眼に限った話ではありませんね。

 

 

-.しっかり睡眠をとろう

 

塾や習い事で多忙な日々を送っているお子さんも多いです。それだけで睡眠時間が少なくなることはあまりないかもしれません。でも見たいテレビ番組をビデオに撮って夜遅くに見たり、Youtubeなどの動画を次々見てるうちに寝る時間が遅くなってしまったりして睡眠時間が減ってしまうこともあるでしょう。

睡眠は体の疲れを取るだけでなく、大脳の働きを健全に整えます。熟睡と覚醒を繰り返す約1.5時間を1サイクルとすると5~6サイクル、つまり7~9時間の睡眠時間を取るのが理想とされます。

 

しかし、以上のことに気を付けていれば近視が進まないかというと、そうとも言えません。

暗い所で漫画を読んでも平気な人もいれば、気を付けていても近視になる人もいます。

身長・体格が違うように眼にも個人差、個体差があります。

こればかりはどうしようもないです…。

しかし、気を付けているかどうかで結果が変わることはあります。

生活習慣を見直すことで視力のみならず身体の調子を整えることが、明るい将来につながる第一歩になるのです。